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2002/05の湾岸署

[2002年05月18日(土)]

「はい、腕はまっすぐ!ほら、そこ!」
青島と真下が帰ってくると、署の駐車場に集まる警官達を見つけた。
皆緊張した面もちで両手を広げている。
「ちゃんと手を伸ばして!スキを与えるとなめられるのよ!」
怒られているのは森下である。
「せ、先輩!」
真下は怒っている方を指さした。
「く、桑野さん?!」
驚く青島の視線の先には長い棒を持って腰に手を当てる桑野の後姿があった。
「な、何やってんだ?」
と何故かくわえていたタバコを急いで消す青島。
「あ、ワールドカップですよ。警備にうちの署もかり出されるとか言ってました」
と思い出す真下。
「桑野さんがわざわざ隣の署から教育係してるわけ?」
と青島が苦い顔をしていると、
「はい、じゃあ10分休憩!」
と言いながら桑野が振り返った。
「青島っ」
怒鳴られた青島は「ハイッ」と直立不動になった。
「わざわざ隣の署から来て悪かったわね」
棒を片方の手のひらにトントンと当てながら威圧する桑野。
「いえっ!ありがたいであります!」
声が裏返る青島。
「あなたも身体なまってでしょ。みんなと一緒に横浜行く?」
一層睨む桑野。
「け、け、けっこうであります!」
ウロウロする青島の視線の先に小さくなって玄関に消える真下が見えた。
「ふーっ」と署内に逃げ込んだ真下。
青島はまだ桑野となにやらやりあっている。
ちょうど出てきたすみれ。
「なに、あれ」
青島達を指さし真下に訊く。
「再会を祝して漫才してるらしいです」
「ふーん。あ、逃げた」
青島が走って向かってくる。
その後ろで
「こら!青島!逃げるな!」
と桑野の声が響き渡るのだった。

[2002年05月16日(木)]

「うるさいなぁ」
と青島が怒鳴る。
「おめーがうるせーんだよ」
と和久が怒鳴り返す。
「?」
覗き込む武。
青島はコートを肩にかけ、机にうつぶせになっている。
むにゃむにゃ言いながらクビを位置を変えた青島は眠っていた。
「夜勤明けなら家に帰ればいいのによぉ」
と和久。
「今の寝言ですか?」
驚く武。
「そうらしいな。寝ててもうるせーな、こいつ」
と和久と武は笑ったのだった。

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