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2002/02の湾岸署

[2002年02月25日(月)]

「おい、こないだの書類どこやった」
と和久が言うが、キョトンとしたままの青島の顔を見るなり
「どけ、自分で探すわ」
と青島の机を漁りだした。
「うわっ」
和久に押しのけられた青島はよろめいてすみれの机に手を付いた。
「あら?」
何かに気が付くすみれ。
「ん?」
と青島。
「青島君、何か塗ってんの?」
「は?」
「時計よ時計」
すみれが青島の腕を指さした。
ベルトはひどく汚れているが、文字盤は綺麗なままである。
「あ、これね。マニキュアだよ透明なやつ」
と、青島は時計を外して見せた。
「塗っとくと傷つきにくいし割れにくいんだよね」
と文字盤をキュッキュとこすった。
「マニキュア?」
とすみれの発した言葉で雪乃も寄ってきた。
「マニキュア?誰のですか?」
険しい顔の雪乃。
一瞬たじろぐ青島だったが、
「何だよ。彼女の一人や二人や三人いるさ」
と言い返した。
「ふーん、彼女いるんだぁ」
青島の手から時計を奪い、すみれと雪乃はまじまじと調べた。
「なんだよ。悪い?」
と得意そうな顔をすると時計を奪い返し、口笛を吹きながら廊下に出ていく青島。
目を見合わせるすみれと雪乃。
その後ろで和久。
「なんだこりゃ」
机の中から小瓶を見つけた。
「マニキュア?あいつ女装癖でもあるのか」
と小さく呟くと、
「こいつぁ見なかったことにしとこう」
と机の奥に押し込んだのだった。

[2002年02月23日(土)](作:Uさん from imode)

「青島君、ちょっと」
袴田が和久出掛けようとしていた青島に声をかけた。
「経費、気をつけてくれよ?こないだ署長からまた注意を受けただろ?」
袴田はゴルフクラブを置いた。
「わかってますよ。それより領収書盗まないで下さいよ?」
「なんだおめぇ、また蓄めてやがんのか。懲りねぇなぁ」
和久が呆れた様子で持ちかけていた鞄を置いた。
「忙しいんすよ。ここんとこ傷害多いじゃないですか」
「事件のせいにすんじゃねぇよ。ホラ行くぞ!」
和久はさっさと出ていってしまった。
「ホラね」
青島もそう言って出ていった。
「やれやれ…。」
袴田は青島の机の上にある領収書を見て
「これじゃあ署長に盗ってくれって言ってるようなもんだな」
と他人事のように呟くと、また別のゴルフクラブを磨き始めるのだった。

[2002年02月22日(金)]

「冬は元気だなぁ」
真下が呟いた先には青島が走って出ていくのが見えた。
「何言ってんだ。あいつは夏だって元気じゃねぇか」
と和久。
「そうですけど冬は特にね」
と真下。
「あいつあれだけ真っ黒なんだ。夏に栄養を吸収して冬に爆発するんだろうよ」
と呑気に和久。
「先輩、コートの中のボワボワもう外したみたいですよ」
「あぁ、それでますます身軽なんだな」
「もう随分あったかいからって汗びっしょりで言ってました」
「この寒いのにか」
驚く和久。
「これから一回くらい寒の戻りもありそうですけどねぇ」
と真下は書類書きを続けた。
「熱い男なのよ」
と向こうで雪乃が笑っている。
「熱い上にバカだからなぁ。始末が悪いよ」
と笑う和久であった。

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