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1999/09の湾岸署

[1999年09月30日(木)]

「ホントに誰も触るなよ!」と言いながら袴田がデスクに置いたのは、今度は花瓶のような陶芸ジョッキ。
青島や魚住はドキッとして見るが、前のこともあるので遠巻きに見ているだけ。
しかし半日も経たずに袴田自身が肘をぶつけて落として割ってしまった。
一同、安堵。袴田、半べそ。

[1999年09月29日(水)]

入り口のところでなにやら記者のような男たちが三人ほど立っていた。
「なんでしょうねぇ」と青島と和久がすれ違おうとすると、男たちは和久ににじり寄った。
「是非今のお気持ちを聞かせて下さいっ!」などと口々に言っていて、青島ははじきだされてしまった。
どうやら聞こえてくる話からすると、和久の盆栽がなにやら凄い賞を取ったらしい。
記者から聞いて初めてそれを知った和久はニコニコ。

[1999年09月28日(火)]

青島は給料直後だというのにプレミア物のモデルガンを買ってしまったため、金欠。
「あーあ、給料貰ったばっかりなのに、もう給料前だよ・・・」


「万引き犯を捕まえた。負傷者が出ている」と通報が入り、すみれと青島で現場へ向かう。
現場には泥だらけになっている二人の少年がいた。
一人はグスグスと泣きべそをかいていたが、もう一人は見覚えがある。
「逃げようとしたところをこの子が掴みかかって捕まえてくれたんです」と店員。
この子が、と紹介された少年は、いつぞや青島が刑事になって初めて事情聴取をした、あの少年だった。
「なんだ、またお前かよ」
と言ったのは、少年の方だった。
「お前とは何だ。刑事さんって言えよ」頭をこづく青島。
「ありがとうね、ぼく」すみれがその後ろから声をかける。
「ふん」と言って見せたが少し照れくさそうだ。
「おーい、いつまでやってんだよー!」と店の外で友達らしき子供たちが呼んでいる。
「うん、今行くぅ!」と飛び出していった。
それを青島は腕組みしたまま、少しまぶしそうに見送るのだった。

[1999年09月23日(木)]

青島が禁煙を始めた。
20分で終わった。

[1999年09月22日(水)]

「おはようっス」
と元気良く入ってきた青島のおでこには、大きな絆創膏。

[1999年09月21日(火)]

「はい、道を渡るときにはピーポーくんのように右左右とちゃんと見てから手を挙げて渡るんですよー。分かったかなー?」
海峰小学校の校庭にすみれの声が響きわたる。
その余韻に子供たちの「はーい!」の声が重なる。
元気よく右左と大きく首を振るピーポーくん。
石灰で書かれた急場の道路を颯爽と渡ろうとしたが、いつか躓いたその場所で、やっぱり躓いてしまった。
転げ落ちる頭。
「あーはっはっはー」子供たちはそれを見て指さして笑う。
「あれれあれ?頭は・・」うろうろするのは青島。
「ほらほら、笑わないのっ」パンパンと手を叩いている先生の叫び声も、子供たちの笑い声にかき消されてしまった。

「ありがとうございました」
美香がいつもの笑顔で勢いよくお辞儀をする。ほど長い髪が踊る。
「いや、今交通安全月間だから交通課の人たち出払ってるのよ。助っ人で来たの」
すみれは美香を見上げながら説明する。
「この前お願いしに伺ったときも難しい顔されてましたから、駄目かと思ってました。助かりました」
また、髪をなびかせた。
「いえいえ・・・。何ぼんやりしてんのよ。ほら、帰るわよ」
ポーッとしている青島をすみれが肘でつつく。
「あ・・うん・・・」我に返る青島。
名残惜しそうにチラチラと後ろを振り返りながらピーポーくんルックで去っていく青島。
ゴンッ!
青島が頭をぶつけたその5mもあろうかと思われる巨大な鉄のオブジェには「文部大臣賞 『宇宙の邪悪と癒し』」と書かれていた。
少し照れくさそうに笑ったあとかしこまった風な顔をした青島だったが、美香はいつまでも笑顔で見送っていた。

[1999年09月20日(月)]

魚住がソワソワしている。
「どうしたんスか?」と青島が聞くと
「今日は結婚記念日なんだよ。この気持ちは青島くんには分からないだろうねぇ」
「分からないスけど、ソワソワするようなもんなんスか?」
「いやぁ出がけにね『今日は期待してるワ』なんて言われたもので、どうしようかと思ってねぇ」
袴田が口を挟む。
「いいねぇ、魚住くんは。うちはもう何も期待なんてされちゃいないよ」

しばらく悩んでいた魚住だったが、電話で一万円分の花束とケーキを注文した。
それを見ていたすみれ。
「いいなぁ。あれでキャリアだったら最高ね」

[1999年09月19日(日)]

「秋山くん。最近警察は、不祥事ばかりで評判悪いよねぇ」
「おっしゃる通りで・・」
難しい顔をして歩いている二人。
「そこでだねぇ。来週の署訓をだねぇ・・おい君、聞いてんのかね」
交通課を訪れている若い婦人に気を取られていた副署長。
「あっはい、いや、おっしゃる通りで・・」両手スリスリ。
「まだ何もおっしゃってないよ。ったく・・。あ、圭子ちゃんこれ清書して貼っといて」
受付に座っている圭子にメモを渡して、二人はブツブツとエレベータに消えた。
圭子が目を落としたメモにはこう書かれていた。
「仕事でも、プライベートも、穏便に」

[1999年09月18日(土)]

自動販売機が壊れているのでみんなホットコーヒーだけ飲んでいる。
「まだ冷たい飲み物の方が良い季節だよね」と青島が言うと
「まったくだ。だんだんまた腰が痛くなってくるぞ」と和久は腰に手を当て憂鬱そう。

[1999年09月17日(金)]

「雪乃さんっ、今晩あたり映画行きませんか?」
真下がこの間貰ったチケットをヒラヒラさせながら言う。
「はぁ?」雪乃は何故か目をパチクリ。
「行きましょうよぉ!」
声がいつも以上にでかい。袖あたりを引っ張っている真下。
「ちょっとぉ」雪乃は真下の手を振りほどきながら
「チケットが余ったのは一枚だけよ。この前友達と行ったら私の分も前売り券を買ってくれてて、それ余っちゃったの」
忙しそうにどこかへ行ってしまった。
たまたま通りかかった青島がうなだれた真下の肩を叩いて
「どした?お前背が縮んだんじゃないか?」
その時真下は確かに3.5cmほど、沈んでいた。

[1999年09月16日(木)]

篠原夏美がピーポーくんの頭をもってウロチョロしている。
「お、また被るのかな?」と魚住。
「今年は私じゃないんですよ」とニコニコして「今年はねぇ・・・」と言いかけると
「夏美ちゃん、ちょっとこっち手伝って」と雪乃が遠くから呼ぶ。
「はい、これ持ってて下さい。柏木せんぱーい、なんですかー?」
と、ピーポー君と残される魚住。
「・・・・」
とりあえず被ってみた。

[1999年09月15日(水)]

「圭子ちゃんが巡回中に子犬拾ったんだってさ」
青島が子犬を抱えてやってきた。
「かわいいっ」とすみれはグリグリ撫でて可愛がっている。
「でもすみれさん。それ、食べられませんよ」
と言った真下に、次の瞬間噛みついたのは子犬だった。
名前はポーピー君に決定。

[1999年09月14日(火)]

「真下さん、映画のチケットあるんですけど、行きませんか?」と雪乃。
「行く行く行く!」と大喜びの真下。
その瞬間確かに3.5cmほど、浮いていた。

映画のチケットを両手で透かしながらニコニコ歩いていると、青島にぶつかる。
「ん?なんだ?それ。」青島が聞くと
「んふふ、せいぱーい。僕の勝ちですよ」とにやりと笑って行ってしまった。
青島はしばらく顎を指で撫でながら怪訝そうな顔をしていたが、「ま、いっか」と気にしないことにした。

[1999年09月13日(月)]

「真下くんが打たれた」と、すみれ。
「打たれた?」魚住、「打たれた?」袴田課長。
一瞬の沈黙。
「君たち何言ってんの。青島くんが打ったんでしょっ」署長は大はしゃぎ。「おっしゃる通りで・・」副署長もうしろで愛想笑いしている。
三塁ベースを蹴ってホームベースで待っているみんなに祝福される青島。囲まれて笑顔でポコポコ叩かれてる。
マウンドでうなだれる真下。「なにやってんだ!わざと打たれたんじゃないだろうなぁ!」ベンチから走ってきた顔の四角い刑事に怒られている。
今日は勝鬨署との野球の対抗試合。
勝鬨署の登板予定だった刑事が先日の不祥事発覚で免職処分になってしまいさらに余分な選手もおらず、仕方なく湾岸署で余っていた真下が勝鬨署チームに入ったのだった。
「バッティングセンターで練習した甲斐がありましたねぇ」ニコニコと緒方が青島に駆け寄る。
「オレにまかせとけって言ったろう?」ベースを一周して少し息を切らせた青島は得意満面。
さよならツーランホームラン。11-10で湾岸署のさよなら勝ちだ。
「空き地署に帰れ〜」勝鬨署のベンチでは真下に非難の雄叫びをあげていた。

ダルマで打ち上げ。
「よーおぼっちゃん。わざと打たれたんだろ」ちょっと酒のまわったニコニコした和久が真下をつっつく。
「そんなわけないでしょ。先輩にだけは負けたくなかったのに・・・」真下は両手でコップをくるくる回しながらいじけている。
「青島さん、すごーい」こちらも酔っぱらった雪乃が隣りの青島をベタボメだ。
それを見た真下は、更にしょんぼりするのであった。

[1999年09月12日(日)]

通り魔事件発生。被疑者は現行犯逮捕。
死者こそ出なかったが負傷者多数。
青島は新城管理官の運転手。車内で「もうケガは大丈夫なのか」「もう平気です」とだけ言葉を交わす。
新城は鳴り続ける携帯電話への応対に忙しかった。
新城を警視庁に送り届けた帰り、厚生中央病院へ直行。
「頑張って下さい。僕に何か出来ることがあったら言って下さい」と被害者を見舞うと、最初は驚くがみんなすぐに笑顔で「ありがとう」と返す。
ちょうど事情聴取している捜査員の道案内をしていた和久もそれを見ていたが、口元には微笑みが浮かんでいた。

[1999年09月11日(土)]

海峰小学校の美香先生がとある用事で湾岸署にやってきて、刑事課にも来た。
「青島さんいますか?」という声にムッとした顔のすみれだったが、手土産のお寿司を見た途端に背中にバラを背負ったような笑顔になる。
「青島くんは・・・」とキョロキョロ探すすみれに、「緒方さんと練習に行ってるみたいですよ」と武。
美香先生は少し残念そうだったが、その横ですみれと中西係長が早速折り詰めを開けていた。

[1999年09月10日(金)]

真下が何かの用事で警視庁に。
帰りがけに新城に出会う。
すれ違ったその瞬間にボソッと「早く上へ上がってこい」と言われた。
真下は少しヘラッとしながら照れていたが、やっぱり湾岸署に帰っていった。

警視庁から戻ってきた真下が、入り口でちょうど出かける青島と遭遇。
「あ、先輩。さっき新城さんに会いましたよ」
「え?どこで!?」とちょっといやそうな顔。
「本店ですよ」というと「なーんだ、驚かすなよ」と飛び出ていった。
それを見送りながら
「・・・・なんで驚くんだ?」

[1999年09月09日(木)]

隣の勝鬨署で警官の不祥事が発覚。
それを知った署長は何故か一日嬉しそう。

[1999年09月08日(水)]

青島とすみれが一緒に有給を取る。
交通課は噂話に華を咲かせる。圭子ちゃんが
「きっと青島さんとすみれさん、カリブですよ」
なんて言っている後ろから青島が「アチ〜ィ!」
家のエアコンが壊れたので涼みに来たらしい。一堂ガックリ。
しばらく呑気にマッサージ椅子で寝ていると和久に見つかり、ダルマに連行。説教タイムに突入。

ダルマで散々説教していた和久といつものようにあまり聞いていなかった青島が、いい気持ちで帰路を歩いていると、男性と腕を組んで歩いているすみれを見かける。
「おいすみれさん、男連れて歩いてるぞ」和久が言うと青島は頭をポリポリかきながら
「なんかすみれさんには悪いけど、パッとしない男ですねぇ」
いやがる青島を引っ張ってニヤニヤしながらすみれに近づく和久。
「お、有給使ってデートか?いいねぇ。どこ行くんだ?」なんて冷やかすとプイッと振り返って
「い・い・と・こ・ろ!」という台詞と裏腹に顔は怒っている。
「どーしたの」と青島。
「せっかくのお休みだと思ってケーキの食べ放題行ってたら、か弱い女性の鞄に手を突っ込んでたのよ。これから湾岸署までデートよ。」
「おーおー、パッとしないと思ったら、彼氏じゃねーのかよ」和久が笑いながら男の肩をポンポンと叩く。
「で、そのか弱き女性は?」キョロキョロしながら青島が聞くと
「目の前にいるじゃない」
顔を見合わせる青島とすみれ。

[1999年09月07日(火)]

和久さんが「最近の若いモンは・・・」などと文句言ってるので青島が「なんスか?」と聞くと、万引き現行犯の女子高生グループがみんな一様に真っ黒で区別が付かないらしい。
「ほら、娘さんも黒くなったらモテるかもしれないっすよ」と青島が茶化すと、「ウチの娘は地黒だからとうに真っ黒だ」とか。

[1999年09月06日(月)]

何の用事があったのか、室井が湾岸署にやってくる。
立て続けに事件が起こって走り回っている青島は、「今日はヘリじゃないんですね」等と言いながらそのまま飛び出していってしまった。
それを残念そうに見送る室井の後ろから「ここんところの皺は相変わらずね」とすみれに言われて難しそうな顔をしていた。

[1999年09月05日(日)]

交通課と飲み会の予定が入っていて青島も真下も気合いが入っていたが、急遽盗犯係の張り込みの手伝いをすることになり出られなくなってしまった。
青島は「すみれさんの陰謀だー!」と叫んでいるが、代わりに出ることになった緒方巡査と山下巡査は大喜び。

[1999年09月04日(土)午後]

真下が「受験勉強は僕が教えてあげたのに・・」とブツブツ言いながら署内をうろついている。
和久は「暑さのせいだろう」と、壊れた空調を恨めしそうに見ている。

[1999年09月04日(土)午前]

課長が振ったゴルフクラブが副署長の頭に当たって流血騒ぎ。
それをいつまでもクヨクヨしてる課長に向かって、呑気に青島が
「大丈夫ですって。署長の姿も見えないところをみると病院行くフリしてそのまま打ちっ放しでも行ってんじゃないっスか?」
と言った慰めは、実はビンゴ。

[1999年09月03日(金)]

真下が頑張って雪乃をデートに誘ったのに「みんなで行きましょう」なんて言われて結局青島とすみれまでついてきた。
ガックリした真下はついヤケ酒になって、早々に潰れる。
ついでに酔ったすみれが青島にからみだし、青島も逃げ去る。
結局、女二人で朝まで飲み明かしたのであった。

[1999年09月02日(木)]

健康診断の結果が返ってきた。
青島の入院のせいか今年は健康診断を受ける人が多くて、魚住さんはホクホク。

[1999年09月01日(水)]

すみれさんのおやつを署長が間違って食べてしまい、とてもとても怒られる。
が、代わりに青島のおやつが食べられた。

[1999年08月31日(火)]

夜勤明けの真下が青島のコートにヨダレ付けちゃった。
青島はカンカン。

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