CINEMA HOLIC 織田裕二インタビュー
「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」
俳優 織田裕二インタビュー
パート1があれだけ大ヒットし、5年の間があり、その間に別の仕事をしていて「2」を作ると聞いた時はどんな感じがしましたか?
予感めいたものはあった。
何年振りかに当時のスタッフとかに会って、何となくそんな話も出たり。
「1」が終った時に冗談で5年後、10年後に「2」をやったら面白いかもね?と言ってた。
気が付いたら5年経ってて、その通りになってると。
『あ、そうですか。何やります?』(どういう「2」にします?)というそっちの感覚だった。
「1」があれだけ記録的なヒットだと「2」はそれなりのプレッシャーも覚悟も必要だし、そういうのは製作側にも織田さんにもあったかと思いますが?
『ない』
単純に面白いものが作れそうな可能性があれば、やって全然OKなので。
いくら見たいって声があっても、ネタがなければやめた方がいいと思う。
まだまだネタがたくさんありそうだ、やりようによっては色んな「踊る」が作れそうだという気はしていた。
「1」が最高というのではなく、それよりもまた違う面白いものを作れるんじゃないの?という気がしていた。
では「2」やるの?というのではなくて『待ってました!』というような?
『あぁ、なるほど』みたいな。
割と肩の力をいれずに『じゃぁ、今度はどういう「踊る」を見せる?』と。
「2」の話がきて、実際に君塚さんの脚本がきました。読んでみてどういう気がしました?
2通りあるだろうなと思っていた。
実験というにおいのする「踊る大捜査線」というスタートの仕方。
当時のドラマでやっていたこと、いわゆる王道パターンではなく、いい意味で期待を裏切る「踊る大捜査線2」というやり方もあるだろう。
「1」とは全く違うテイストで、でもこういう「踊る」もあるよね、という。
連続ドラマは回によって全然違うテイストもあった。「1」とは全く違う「2」というやり方もある。
もう一つは「1」をよりグレードアップというかバージョンアップしたもの。
この2通りあるんだろうなと思ってた。
割とチャレンジ好きなので、前にやったものをまた壊して、新しい別の側面を見たいとも思っていた。
どっちでいくのかと思ったときに『あ、そうか。こっちできたか』というのがあった。
それはどちらで?
それはバージョンアップのほうだった。
守ったか?みたいな。おいおい、もっと攻めてもいいんじゃないか?と正直思った。
しかし逆に『5年経ったから今回はそれを選ばなかったんですよ』と言われた時に、『あぁ、なるほど』と思った。
これが2年だったら全然違うものを作ろうと思っていただろう。
5年経ったから忘れてますよ、みんな覚えてないでしょう、それだったらよりグレードアップさせたバージョンを作った方がいいんじゃないかと言われた時に『なるほど。じゃ、頑張りましょう』と。
ファンは「1」のことを忘れてはいないと思うのです。
私(インタビュア)も実際にお台場で仕事をしていて、この5年間で景色も全然違ってきている。
青島も5年歳を取っている・・・
そうなんですよ。
だからそういったことを含めると、各キャラも5年歳を取っている。
青島君に関しては、元々新人の刑事だったのが、今や5年経ったらひととおり覚えているし刑事の仕事は身に付いてる。
じゃぁ、ダレちゃってんじゃないの?みたいな。
その分の変化があるから、同じようでいて実は全然違うという。
景色も全部違う。当時は空き地署といわれてたのが今は空き地署ではない。
お台場に行けば当たり前のように観覧車があって、人がたくさんいる。
昔は窓際だったんですよね。
湾岸署へ来るということは出世は諦めろというくらい大したことのない警察署だった。
今は湾岸署に行くことを命じられたら、出世コースになっちゃう。
同じ湾岸署なんだけど人が増えたことによって犯罪は多発するし、いい事ではないんだけどもの凄く忙しくなってる。
今回は周りが変わったことにより、その5年という歳月が経ったことによってどれだけこの人達が変わるのか?というのも面白いかなと。
青島に関していえば見てると気が付かないとは思うけど、変わってるんですね。初心を忘れている。
コートを翻して刑事に憧れてた男が『あれ?何のために俺は刑事になりたいと思ったんだろう?』と。
元々、根本に流れていた“小さな事件であっても困った人を助けられる人になりたかった”部分があった。それが『あららららら』と。
ちょっと上のほうの本部の人達、本庁の人達の考え方、室井さんをはじめそういう人達のことや苦悩も分かってきて。上の苦悩と同じように青島もその歳で。
映画になって30くらいになっていて、今35になって・・・この30に戻らなくてもいい、今のままでいいじゃない、今の青島がどうなったの?というのを見たいという。
「北の国から」という番組がありましたけど、あれじゃないけどその時その時のドキュメント感覚とドラマが融合していいんじゃないかと思う。
織田裕二さんは青島さんのことを好きですか?
好きですよ。
どんなところが?
彼の人間臭さが好きなんですよ。ミスも犯すし、間違いも犯すんだけど、根本に流れてるものは悪くない。
人ってサボったりもするもの。
今回も「Love Somebody」とうい主題歌を作ってて、ヤンチャさというのがいつもあった。
最初にマキシ(プリースト)とやった時も、金曜の夜とか土曜の夜というイメージで。
まだあの曲が出来上がる途中の段階で、歌詞がついてない段階で、ジャケット撮影をやったときにマキシに提案したのは『ここに女の子がいて、俺らはどの子がいいっていうナンパをするようなシチュエイション』だと説明した。
そういう身近な、とても高尚なものじゃないけどフラットな日常的な感じの中で、充分ドラマがあったり、小さな魅力がいっぱい転がってるみたいな。
難しい。何云ってるか難しいから(苦笑)
今回はまた違って、平日の昼間みたいな感じの歌なんだけどサボっていて。
そのサボるというとこがポイント。
みんなが仕事しているときに『気持いいね〜』といってビールでも飲んじゃうみたいな。
そういう大人なんだけど、ヤンチャな良さみたいな。
青島に関しても、充分大人なんだけど、分別もわかってるんだけど、分かっちゃいるけどここはOKだね、みたいな。
町内にこういうヤンチャ坊主的な人が1人いて、和久さんみたいな相談役の人がいて、いつも『青島、来い!』といわれてパーンと叩かれ『お前、何やってんねん』といわれ『すみません』というような。
許せる範囲のヤンチャなんだけど。心底酷いことをやってるというよりは『バカモン!』『クソおやじ!』みたいなね。
その青島というのは悪いことをやって迷惑を掛けているかというと、逆にそれで町を活性化させる、元気付かせている・・・そんなイメージ。
青島って振り回さなきゃいけない人だと思う。青島に元気がなければ、すごくつまらない。
今回は実はあるんですけどね・・・初めて青島という光というか炎がキューッと消える瞬間があるんです。
でもそれは“初心、忘れるべからず”という今回のテーマに入ってるんですけど。
今までとちょっと違う青島というのが見られたりする。
随分、監督などもこだわって撮ってましたね。