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Windowsを使っている人

私はもうかれこれ長いことPCのサポートをやっている。
現在もとあるメーカーにお世話になっている。まぁ、好きなことなので楽しく仕事させていただいている。
「マシンが立ち上がらない」とか「HDDが火を噴いた」とかそんなときに対処法などを教えてあげるのが主な仕事である。
先日とってもとってもカルチャーショックを受ける出来事があった。

PCなので当然元々DOSベースであるのだが、このご時世なのでおよそみんなWINDOWS95を使っている。 我が社のPCもご多分に漏れずWINDOWS95がプリインストール状態で出荷される。
DOS時代からの人はコマンドプロンプトも知っていて、当然 「format」「copy」コマンドぐらいは知っているのだが、Windowsから使い始めた人だとファイルマネージャーからの操作しか知らないので、いちいち「エフオーアールエムエーティーと打ち込んで下さい」等と教えてあげたりしなければいけなかったりする。
そのくらいはまぁ日常なのだが、先日何かのアプリケーションが立ち上がらないとかいう問い合わせがあって、結局VisualBasicのランタイムが無くなっていただけだったのだが、このときにこっちから「WINDOWSのディレクトリーの中を見て下さい」とお願いしたところ(相手は大事なお客様なのであくまでも低姿勢)、「ディレクトリーってなんですか?」と聞かれてしまった。
WINDOWS95プリインストールのマシンで、キーボードのことを「本体」と呼んでいたくらいなのでやっぱり初心者なのだろう。
WINDOWS95だと「ディレクトリー」でなく「フォルダ」なのだ。「あ、フォルダの事ですか」と理解していただいたが、それでショックを受けまくったのである。
マックユーザーならまだしも、PCを少なくともアプリケーションを使ってちゃんと作業出来る人にすら「ディレクトリー」は知らない単語になってしまったのである。
DOSからの人がマシン語とかを知らないのと同じようなレベルになってしまったのか。

別の日にどこかの会社の経理の女の子が「子機は動いてるんですけど、親機が動いてないんです。」と言ってきた。
最初「親機」がサーバー・「子機」がクライアントだと解釈したので、そのつもりで話し始めたのだがどうも雰囲気がおかしい。
「親機にはいつも綺麗な絵が出るんですけど、出ないんです」って、なんだ??
散々悩んで対応した結果、ディスプレーが映らなくなっていただけだったのだ。
その彼女にとってはディスプレーが「親機」、PC本体が「子機」であったのだ。
いろんな呼び方があるものだ。

今はもう私はサポートという仕事はしていない。
さらに、この話はもはや時代遅れである。

多分今このコラムを読んでいる大半がディレクトリーなんて知らないであろう。知らなくても使えるからだ。
おそらくフォーマットも知らないし、コピーも下手すると知らない。
エクスプローラって何なんだか分からない人もいる。
マックなんだかウィンドウズなんだかも分からずに使ってる人もいそうだ。
PCと言う言葉がWindowsパソコンを指すということを知らない人も出始めた。
知らなくても不自由しないからだ。
何も知らなくてもパソコンが使えるということは、私からすればとても恐ろしい。
ハードディスクが認識できなくなった時に、どうやって回復させるのか。
そもそもその時「ハードディスクが認識できなくて今このパソコンが起動しない」ということに何人が気付くのであろうか。
そういう時代なのだ。だからいちいちカルチャーショックを受けていたら、私の精神世界は崩壊してしまう。

過去の遺物、記念碑、としてこのコラムは残しておきたい。
Written by かず
1996.9.15-1999.5.19
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